貢献と成果
働き甲斐の3つの条件
生産的な仕事
第一に仕事を分析せず、プロセスを総合せず、管理手段と基準を検討せず、道具や情報を設計せずに、仕事に責任を持たせようとしても無駄である。
フィードバック情報
働くものに責任を持たせるには、成果についてのフィードバック情報を与えることである。自己管理が可能でなければならない。自らの成果についての情報が不可欠である。
継続学習
成果をあげるためには専門家にしなければならない。したがって、他の専門分野の経験、問題、ニーズに接し、かつ自らの知識と情報を他の分野に適用出来るようにしなければならない。学習集団にならなければならない。
この3つの条件すべてについて、実際に仕事をするもの自身が、始めから参画しなければならない。仕事・プロセス・道具・情報についての検討に始めから参加しなければならない。組織みんなの知識・経験・要求が、仕事のあらゆる段階において貴重な資源とならなければならない。
成長の責任
仕事をいかに行うべきかを検討することは働くものとその集団の責任である。仕事の仕方や成果の量や質は、みんなの責任である。
したがって仕事、職務、道具、プロセス、技能の向上はみんなの責任である。誰もが自らをマネジメントの一員と見なす組織を創り上げるという課題がある。
成長の責任は自分にある、すべては責任から始まる
成長に最大の責任をもつ者は、本人であって組織ではない。自らと組織を成長させるためには何に集中すべきかを、自ら問わなければならない。
成功の鍵は責任である。自らに責任をもたせることである。あらゆることがそこから始まる。大事なものは、地位ではなく責任である。責任ある存在になるということは、真剣に仕事に取り組むということであり、仕事にふさわしく成長する必要を認識するということである。
強み
何かを成し遂げられるのは、強みによってである。弱みによって何かを行なうことはできない。
自らの強みに集中せよ
不得手なことの改善にあまり時間を使ってはならない。自らの強みに集中すべきである。無能を並みの水準にするには、一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーと努力を必要とする。
自らの最高のものを引き出す
まず果たすべき責任は、自らのために最高のものを引き出すことである。人は自らがもつものでしか仕事ができない。しかも、人に信頼され協力を得るには、自らが最高の成果をあげていくしかない。
果たすべき貢献を考える
成果をあげるには、自らの果たすべき貢献を考えなければならない。手元の仕事から顔をあげ、目標に目を向ける。組織の成果に影響を与える貢献は何かを問う。そして責任を中心に据える。
成果中心
基本的なこととして、成果すなわち仕事からのアウトプットを中心に考えなければならない。技能や知識など仕事へのインプットからスタートしてはならない。それらは道具にすぎない。
いかなる道具を、いつ何のために使うかは、アウトプットによって規定される。作業の組み立て、管理手段の設計、道具の仕様など必要な作業を決めるのは成果である。
成果をあげるための五つの能力
- 何に自分の時間がとられているかを知り、残されたわずかな時間を体系的に管理する。
- 外部の世界に対する貢献に焦点を合わせる。
- 強みを中心に据える。
- 優先順位を決定し、優れた仕事が際立った成果をあげる領域に力を集中する。
- 成果をあげるよう意思決定を行なう。
実行(必要なことは実際に行うことである)
- 仕事と職場に対して、成果と責任を組み込むことである。
- 共に働く人たちを生かすべきものとして捉えることである。
- 強みが成果に結びつくよう人を配置することである。
自らを知るふるまいとは
自らの強み、仕事のやり方、価値観がわかっていれば、チャンスを与えられたとき、職を提供されたとき、仕事を任されたときに、「私がやりましょう」「私のやり方はこうです」「仕事はこういうものにすべきです」「他の組織や人との関係はこうなります」「この期間内にこれこれのことをやり遂げます」と言える。
成果をあげることは革命
自ら成果をあげるということは、一つの革命である。前例のないまったく新しい種類のことが要求される。あたかも組織のトップであるかのように考え、行動することが要求される。