マネジメントWebではマネジメントに大切な4つの要素を説明しております。
マネジメントWeb
HOME > イノベーション > イノベーションの原理10

イノベーションの原理10

何を行うかについての原理5つ

第一

新しい製品、プロセス、サービスは、損益分岐点に達したその日から陳腐化する。

第二

自らの製品、サービス、プロセスを自らの製品、サービス、プロセスを自ら陳腐化させることが、競争相手による陳腐化を防ぐ唯一の手立てである。

第三

研究開発は手段と心得よ。研究開発を純粋と応用に分けることは意味がない。

純粋に研究する必要があるものもある。まったく新しい製品やプロセスを生み出すには、技術ハンドブックを読み直すだけでよいものもある。

第四

物理、化学、生物、数学、経済学は、それ自体研究の対象とすべき体系ではない。いずれも手段である。月にいったNASA長官は科学者ではなかった。

第五

研究開発は、三つの活動からなる。改善、展開、イノベーションである。互いに補完的な関係だが異質の活動である。改善とは、すでに成功を収めているものをさらによくすることである。

コスト、品質、顧客満足度を年率三ないし五パーセント向上させるという、具体的な目標をもつ継続的な活動である。

それは、生産とサービスの現場、営業の現場、顧客からのフィードバックから始まる。研究者、技術者、製品設計者が、現場からの提案や疑問を製品、プロセス、サービスの改善に結びつけていく。

展開とは、ソニーに例、テープレコーダーをウォークマンに変えたこと。サービススター社の生産管理の手法を病院の保守管理と未熟練従業員の訓練に適用した。

その成功を、事務所の保守管理と寝たきり老人の介護サービスへと展開した。この展開は常に市場志向である。もちろんそのためには新しい技術や道具が必要となる。

イノベーションとは、社会、経済、人口、技術の変化を機会として利用することである。

効果的な研究開発とは、改善、展開、イノベーションの三つを、同時にしかも個別に追求すること。デュポンはナイロンの開発と同時に、ストッキングのために開発したナイロンを自動車用タイヤに使い、長年にわたり大きな利益をあげた。

いかに行うかについての原理

第六

狙いは高くしなければならない。例え小さな改善であっても、イノベーションと同じように強い抵抗を受ける。

したがって、研究開発に成功するには、顧客の生活や事業に大きな違いをもたらすことを考えなければならない。高い目標の設定が市長を支配できる。

第七

効果的な研究開発には長期と短期の成果がある。投入すべきエネルギーが大きいだけに、短期的な成果で満足してはならない。あとに続く長期的なプロセスへの第一歩とならなければならない。

短期と長期のバランスは、計画して実現できるものではない。成果が短期的なはず改善においても、長期的な成果の手がかりを見つけなければならない。

二、三年ごとに改善の成果が何か特定の応用、市場、設計、プロセスに集中していなかったかを分析する必要がある。この分析によって、大きなイノベーションの機会が見えてくる。

第八

研究開発は作業としては独立していても、機能としては独立していない。製品、販売、サービスに研究成果を転化するための開発活動は、研究活動と手をたずさえて進めなければならない。

加えて製品、販売、サービスの仕事のすべてが研究開発に影響を与えるとともに、研究開発の成果がそれらの仕事に影響を与えなければならない。

大学における研究は、知識の探究それ自体が目的であってよい。会社、政府機関、医療機関では、知識の探究は有用性の探究でなければならない。

第九

効果的な研究開発を行うには、製品、プロセス、サービスのみならず、研究プロジェクトそのものまで体系的に廃棄していくことが必要となる。

数年ごとに、製品、プロセス、サービス、研究プロジェクトのすべてについて、そのとき明らかになっていることを前提にしてもスタートさせるか否かを問うことによって、廃棄を決めなければならない。

いつ廃棄させるかについては三つも判断基準がある。第一に著しい改善が見られなくなったとき、第二に展開から新しい製品、プロセス、サービスが生まれなくなったとき、第三に研究が興味ある成果しか生まなくなったとき。

第十

研究開発もまた他のあらゆる活動と同じように、量的な評価を受けなければならない。改善については、目標を設定し量的な評価を行うことはかなりやさしい。展開については目標は設定できる。たとえば、年に一つは重要な製品、市場、応用を実現しなければならない。

しかし、イノベーションについては質的な評価が必要である。ほぼ三年ごとにイノベーションの成果を見直していかなければならない。富の創出能力を向上させるために、いかなるイノベーションを行ったか。それらのイノベーションは、量、質、インパクトの面で、わが社の市場における地位と業界におけるリーダーとしての立場に見合っていたか。

今後数年間のイノベーションの成果は、量、質、インパクトの面でいかなるものであれば、わが社が必要とする市場における地位と業界におけるリーダーシップを与えてくれるか。これらによってイノベーションを10原理を知る。

ページの上部へ